「夫が浮気をしたことが、どうしても受け入れられないんです!」
当然です。
常習犯ならいざ知らず、ごく普通の夫婦としてやってきたなかで、『夫の浮気』が発覚したんですから。
そんなのテレビの中の話、よそ様の話で、正直、自分たちには関係ないことだと思われていても、むしろそれが普通です。
そんな中で、こともあろうに自分の夫が他の女性に気持ちを寄せ、妻に嘘をつき、親密なやりとりどころか肉体関係まであったとしたら、その現実を受け入れることが簡単なはずはありません。
信じられないし、許せないし、心の中に「どうして?どうして?どうして?」の問いが無限ループで空回りするでしょう。
でも、何度夫を追及したところで、浮気をした事実は変わりません。
夫が浮気した。
嘘もつかれた。
女性と隠れて会話やLINEのやりとりをした。
デートをして、食事をして、プレゼントを渡してた。
ホテルに行ってる。何回も。
信頼してたのに。
ある日突然、爆弾を落とされて、何もかも壊れてしまった。
その事実は本当に悲しい。辛いし、苦しいし、許せない気持ちもある。
それでも、一度起きてしまったことは、なかったことにはできません。
過去に戻れるわけではありません。
ご相談いただく男性の中には、『これまでのことをリセットして、妻とやり直したいです』という方もいます。
でも、はっきりいいますが、『リセット』はできません。
セットしなおすことはできない。なかったことにはできないんです。
できるのは『リセット』ではなく『リスタート』です。
再出発して、乗り越えること。できることも、するべきことも、それしかありません。
あらたなご夫婦の関係をつくり、時間をかけて二人の関係を取り戻す。
それが、夫婦関係の再構築というものです。
実際に夫の浮気を乗り越えて、以前にも増して仲が良くなったご夫婦から、こんなお話を伺いました。
「夫の浮気で、私自身、心が鍛えられました。当時はすごく責めたし、心も大荒れで、一生許せないと思っていました。
でも、ダメなところも、バカなところも、必死になって私の心に寄り添う努力をしているのも、ぜんぶ私が選んだこの夫の姿なのだと思えたとき、ありのままの夫とやっていこうという気持ちになれました。そのときから、私の心はすごく変わりました」
この方は2年以上、ご相談をくださいました。
この境地にたどり着くには多くの時間がかかり、葛藤があったことも事実です。
それでも、この方が浮気を克服できたのは、夫を否定し続けてきたからではなく、受け入れる気持ちが持てたことが転機になったことは、確かなことだと思います。
哲学者のウイリアム・ジェイムズの言葉に、つぎのようなものがあります。
『物事をあるがままの姿で受け入れよ。起こったことを受け入れることが、不幸な結果を克服する第一歩である』