ご夫婦での電話相談の最中に、壮絶な夫婦喧嘩が始まってしまうこと、実は珍しくありません。
特に、関係修復のためのご相談はご夫婦で受けられることが多く、そのなかで互いの意見が対立して、大荒れになってしまうこともあります。
その発言を電話越しに伺っていると、相手を批判、否定するネガティブな言葉の応酬です。
エキサイトしているときは、互いに言葉を選ばなくなってしまっていることもありますが、これが日常茶飯事になってくると、決してよい傾向とは言えません。
修復したいお二人の気持ちは一緒なのに、ネガティブなことばかり口にしていると、夫婦の関係修復はますます遠のいてしまいます。
夫婦関係を研究しているジョン・ゴッドマンという心理学者は、夫婦の会話において、ポジティブ比が5対1を下回ると、高確率で離婚してしまうと言っています。
つまり、夫婦同士で認め合わず、否定する言葉を5回に1回の割合で口にしていると、離婚になりやすいというのです。
そして実際に、この条件下での離婚予測を行ったところ、そのうちの94%が離婚してしまったそうです。
ただ、浮気されたあとって、妻のポジティブ比なんか下がりまくってるはずなので、おそらくこのデータは、あくまでも不倫などの大きな問題を抱えていない、一般的な夫婦関係のなかでの話ではないかと推察します。
なので、これをそのまま持ってきて当てはめることはできませんが、それでも、ネガティブな思考に囚われてしまうことは、ますますご本人も辛くなりますし、あながち無視できるデータでもないのです。
ある方は相談のなかで、次のような仰っていました。
『過去に浮気をした夫のことをどうしても許せません。
何か月間も毎晩のように責めて、汚い言葉で罵ってしまいます。
夫は『反省している、申し訳なかった』と謝ってくれますが、そんな言葉すら、上っ面のものにしか聞こえません。
本当はやり直したいんですが、心が荒れてどうにもなりません。
こんな状態で、修復することなんてできるのでしょうか?』
夫婦関係の修復って、言うのは簡単ですけど、ある意味、疑いや不安との戦いです。
夫に対する信頼がなくなっていますから、何を言われても嘘に聞こえたり、何もないとわかっていても、心の中にむくむくと疑いが生じてくることもあるし、そこに加えてフラッシュバックが津波のように襲ってきますから、悲観的、懐疑的、認めない、何かにつけてムダとか無意味とか間に合わないとか、とにかくマイナスな理由を探してしまうことも無理のないことです。
ただし、これではなかなか状況は好転しないでしょう。
では、どうすればいいのか?
まず、何事にも流れ、時期というものがあります。
夫婦関係の修復においても然り。
おおむね次のような流れをたどります。
① 夫を批判したり、拒絶したくなる時期
② 自分の心が揺れて、迷いの時期
③ 迷いから抜け出して、心が定まる時期
④ 新たな夫婦関係を構築していく時期
上の4つの時期のなかで、今、自分がどこにいるのかを理解することです。
さきほどの方も、夫を批判し許せない時期にあるだけで、修復できないということではありません。
自分がどの位置にいるかを理解することで、全体の流れとしてどの方向に進めていけばいいのかがわかります。
未知なものは怖いです。
でも、未知を『道』に変えると、怖さは消えて、行動が生まれます。