あるご夫婦と夫婦問題についてお話をさせていただいたときに、こんなエピソードを伺いました。
30代の男性Sさん。
週末に近くで開催されるイベントがあり、子どもたちをつれていく計画がありました。
(Sさんご夫婦には、5歳と3歳の男の子がいます)
そして、その帰りに奥さんへのサプライズとして、レストランで食事をしようと、雑誌で話題のお洒落なレストランに予約を入れたそうです。
Sさんとしては、奥さんが子育てや家事、仕事にも忙しくて、なかなかゆっくり過ごす時間がないので、日頃の労をねぎらうつもりで、雑誌でお店を探してインターネットで予約をとったりして、すこしでも奥さんに喜んでもらおうと頑張りました。
ところが、レストランを出たときに、奥さんの口から出た言葉は、彼にとって思いもよらないものでした。
『あ~もう!信じられない(怒)!!!』
Sさんは奥さんの言葉が理解できませんでした。
なして?君が喜ぶと思ってやったのに、、、、、
イベントが終わって帰ろうとしたら、突然夫から「夕食はレストランを予約してあるから」と言われた。
一日子どもと遊んで汗もかいたし、頭もぼさぼさだし、『え?この状況で?』と奥さんは難色を示しました。
でもSさんは、『せっかく予約したんだから』と渋る奥さんを説得して、子どもたちを連れて予約した店にいきました。
この時点で、奥さんとしては、夫の行為は無神経過ぎていて、最悪のサプライズになってます。
店内はしずかな音楽が流れていて、テーブルには小さなキャンドルが灯っています。
今日の奥さんの格好は、ストレートのデニムにチェックのシャツ、スニーカーというラフな格好。
子どもたちはТシャツに半ズボン。
だれが見ても場違いなものでした。
しかも、幼いこどもたちは食事中、片時もおとなしくしていることがなく、途中から飽きて騒ぎ出すし、せっかくの食事も味わうどころではなかったのです。
これは、Sさんに限らず、男性が陥りやすい落とし穴です。
男性はおおむね、自分が妻にしたいと思うことが、妻にとっても嬉しいことで、望んでいること(のはずだ)だという脳内図式を持っています。
でも、ときにはそれが、男性の一方的な思い込みや『自己満足』に過ぎない場合もあります。
『自分が妻のためと思ってしていることが、妻にとって本当に嬉しいこととは限らない』
これは男性にとって、心に留めておくべき大事なポイントといえます。
その日の夜、奥さんからこのように言われたそうです。
「あなたの気持ちは嬉しいけど、あんな形でレストランをサプライズされるよりも、あなたが子供たちを連れて一日遊んできてくれて、夕食もどこかで済ませてくれたら、その間に私はゆっくりできるし、家のこともできるし、食事も簡単に済ませられるから、そのほうがよほど嬉しいわ」と。
Sさんの名誉のために書いておきますが、彼はとても優しく、奥さん思いの男性です。
でも、彼ですら、奥さんのためにと思ってしたことが、裏目に出てしまうことがあります。
つまり「やさしさのすれ違い」はどこの夫婦にも起こり得ることです。
でも、妻が何を望んでいるか、どうすれば妻の思いに叶うのか、といった根本的なポイントを夫が理解できていれば、そのあとの行動はおのずと変わってきます。
このあたりのことは、関連記事 『妻のことをどれくらいわかっているか』でも触れていますので、あわせてごらんください。