ところで、浮気がバレた男性の中には、このカウンセラーの方と同様に、「浮気したのは妻のせい」と主張してくる夫も少なくありません。
これって、どういう心理に基づいているんでしょうか?
実は、男性はいくつになっても、心の中に「妻に優しくされたい」とか「甘えさせてほしい」という欲求を持っています。
これは心理というより、むしろ願望ですかね。
ところが、そんな夫の思いと裏腹に、妻としては「日々の生活に追われて、それどころではない」という現実がありますし、心に余裕がないために、つい、夫のことが邪魔くさくなったり、「それくらい自分でやってよ!」みたいな言葉が口をついてしまったり、夫のことが眼中にない状態に陥ってしまうことがあります。
それは無理のないことですが、夫は一方的に拒絶されたと感じて、イジけて妻に背を向けてしまい、時にはそれが浮気に走るきっかけとなってしまうんです。
冒頭のカウンセラーの方が言われていたのは、もしかするとこのことだったのかもしれません。
ただ、こうした男性心理は、夫の言動を理解するうえでは知っておくほうがいいですが、この欲求を満たそうとして妻が奔走してしまうことは避けなければなりません。
出口が見えなくなり、迷子になってしまうだけだからです。
ちなみにコンサルティングの結果、この方に対して、私は「ご主人が浮気したのは、あなたの努力不足の結果ではありません」とお伝えしたうえで、どうしたら夫が浮気をやめてくれるのか、そのための対処方法をお伝えし、実践していただきました。
この方の場合は、半年ほどかかりましたが、最終的にご主人は浮気相手と別れ、奥様やお子さんたちと向き合う時間を積み重ねておられます。
こうなるためには、妻がひとりで努力したらどうにかなる問題ではなく、夫自身の意識の転換が不可欠ですし、夫婦関係の修復にむけたプロセスを着実に踏んでいくことが必要です。
このご夫婦の場合、いちばん問題だったのは、「夫婦間の認識不足」に本人たちが気づいていなかったことです。
要するに、夫が日常生活のなかで、妻の大変さを理解していないし、妻もまた、夫に「求めすぎている」傾向があり、夫の心が逃げ場所を求めていた、ということです。
その原因はコミュニケーション不足、つまり、ふたりの会話がないんです。
会話がないから、夫婦が互いに、相手がどれほど大変で、忙しくて、どれだけ頑張っているか、わからないんです。
そんな中で、夫の浮気が発覚すれば、妻は『私はこんなに毎日大変なのに、浮気するなんて信じられない』と思うでしょうし、一方夫は、放っておかれたことを恨み節にして、むしろ自分が被害者のような言い分を並べるかもしれません。
こうした意識のすれ違い、認識のズレというのは、浮気に限らず、夫婦関係のひずみが生じる大きな原因となります。
逆にこうした点に気づき、互いの考え方、受け止め方を修正できたことで、夫婦関係が格段に改善されるケースもたくさんあります。
注・この記事において、他のカウンセラーおよびカウンセリングを批判する意図は全くありません。あくまでもご相談者様の相談内容に準じて、事例として触れさせていただきました。ご理解いただければ幸いです。