夫が浮気するのは、妻が悪い?①

あるカウンセラーが放った衝撃的な言葉

あるご相談者様のメンタルコンサルティングをさせていただいたとき、こんなお話を伺いました。

「あるカウンセラーに夫の浮気を相談したら、『ご主人が浮気をしたのは、あなたに相当な原因があります。どうしてこうなるまで放っておいたのですか?ご主人に戻ってきてほしければ、もっと努力して、あなたが変わることが必要です。もっとご主人のお世話をして、もっと愛情を注いでください』と叱られてしまいました。私が悪かったのでしょうか?」

この方は、大きなショックを受けて、とても苦しんでおられました。

「夫の浮気は、妻のほうに原因がある」という考え方は、私は基本的に反対の立場です。

ですが、そもそもカウンセリングとは、自分の受け止め方や環境を変えることで、自分の中で問題を克服するというロジックですので、そういう見解になってしまうのも無理のないことかもしれません。

そのカウンセラーを批判するつもりは毛頭ありませんが、私は、ここにふたつの問題があると感じています。

問題その1 夫の浮気は、妻の努力不足の結果なのか?

ひとつめの問題は、夫の浮気は、この方の努力不足(放っておいたこと)が原因だったと、本当に言えるのか?という点です。

詳しくお話を伺ったところ、この方には3歳と1歳のお子さんがいらっしゃって、家事と育児をすべて自分ひとりでこなしていました。

朝はご主人のために、毎日お弁当を作っているそうです。(ちなみに5時起きだそうです)

自分のことも後回しにして、子どもの世話をして、買い物に行き食事をつくり、掃除や洗濯をしている日々のなかで、この方に「努力不足」を指摘すること自体、私には理解できません。

イラスト

しかもこの方のご主人は、帰宅が夜中の11時を過ぎたころなので、平日は事実上母子家庭に近い状態でした。

この状況の中で、「夫が浮気したのは、放っておいた妻が悪い」というのは、あまりに酷という気がします。

 

問題その2 妻に努力を求めるが、その方向性を示していない

二つ目の問題は、仮にこの方が努力不足だったとして、「では、何をどう努力したらいいのか?」の具体的な方向性が示されていないということです。

どんなに努力したところで、頑張る方向が違っていれば、水の泡どころかマイナスにしか働きません。

それでなくても、今の時点でもめいっぱい頑張っている人に、「もっと努力しなさい」というのは、本人が崩壊していくだけです。

たいていは、そのために睡眠を削り、子どものための時間を減らし、「努力」という名目のもとで、自分を追い込んでいきます。

その結果、精神的に不安定になったり、ストレスで不眠症になったり、ちょっとしたことでも子どもを激しく叱ってしまうなど、身体的にも精神的にも限界を超えてしまう結果となります。

当然、長くは持ちません。多くの場合、3か月がいいところです。

そして、その3か月が経過するころ、夫の状況はかえって悪化することが大半なのです。

 

浮気したのは妻が悪い? ②に続く