でも、C社にたびたび足を向けてセールスを続けているうちに新型のコピー機を購入してもらえる話がまとまってきた。
どうやらE子さんが社長に購入を働きかけてくれたらしい。
「ありがとうございます!では今週中に納品させて戴くということで、早速手配させていただきます!よろしくお願いいたします!」
Aさん、絶好調です。
そんなこともあって、E子さんとも多少は雑談をかわすくらいの間柄になってきた。
ところが一ヶ月ほどしたある日、C社から、購入したばかりのコピー機の様子がおかしい、という電話がはいりました。
電話をしたのは事務員のE子さん。
本社から連絡を受けたAさんは、あせってC社に出向きました。
時計の針は夕方5時半をまわっています。
今日はできれば早く帰りたいな、と思っていた矢先ですが、そんなことを言っている場合ではありません。
なにしろ自分がセールスした新製品ですから、マズい対応で相手を怒らせてしまっては、自分の信用にもキズがつきます。
もしも深刻な故障なら、すぐに本部に電話して回収するなり、修理マンを派遣するなりしなければなりません。
C社につくと、会社はすでに業務を終えていて、事務のE子さんだけが残って待っていました。
実はAさん、営業を始める前はメカニックの経験も少しあって、多少のトラブルなら自分で治してしまう腕前の持ち主でした。
調べてあれこれ1時間くらいいじり回して、ようやくコピー機が息を吹き返しました。
「ああよかった。これでなんとか自分の顔も立ちますよ」
ほっとして、顔をあげるAさん。
心配そうにその様子を見つめていたE子さんと目があって、ぺこんと頭をさげる。
「とりあえず、明日、あらためまして社長さんにお詫びに参ります。
今日は遅くまで申し訳ありませんでした」
お詫びをするAさんにE子さんは言いました。
「明日は、社長は夕方までいるはずですが、もしも急に留守にするといけませんから、Aさんの携帯の番号とアドレスをお教えいただけませんか。
そのときはすぐに連絡を入れますから。
あ、念のため、わたしの番号も教えておきますね」
「あ……そうですか。すみません。お手数かけます」
普通に考えたら、仕事上の付き合いしかない営業マンと受付事務の女性が、携帯番号やメールアドレスの交換をするってのは、あんまりないと思いますけどね。
まぁ、相手は親切で言ってくれてるんだと思って、AさんはE子さんに携帯とメルアドを教え、とくに必要とは思わなかったけど、E子さんのそれも自分の携帯に入れておきました。
ただ、その翌日は・・・・・・・(続きはこちら)