妻の心を理解できない夫たち

浮気をした夫本人から、ご相談のお電話をいただくことがあります。
そのなかでよく言われることとしては、

浮気くらいで、こんなに妻が壊れてしまうとは思いませんでした。
浮気くらいで、こんなに妻の信用をなくしてしまうとは思いませんでした。
浮気くらいで、こんなに夫婦仲がダメになるなんて……

こんなつもりではなかったけど、結果としてこんなことになってしまった。
で、どうしたらいいですかね?みたいな。

「妻が壊れてしまう」というのは、フラッシュバックを差していることが多いです。
ほかにも、パニック障害とか、うつ病になってしまった、というケースもあります。

フラッシュバックによって、いつもは穏やかでおとなしい妻が、豹変したように大声で泣きわめき、物を投げたり、暴れる姿を見て、多くの夫はまず途方に暮れます。

そして、『妻がこうなってしまった原因は自分だし、自分がしっかり受け止めないと』と、なんとか必死に寄り添おうとする夫……ばかりではありません。

むしろ、フラッシュバックを自分へのあてつけ、攻撃であると見る夫もいます。
すると、寄り添うどころか逆ギレ、開き直りに転じ、
まだ俺を責めるのか。
まだ俺を許せないのか。
いい加減にしてくれ。こっちまでおかしくなりそうだ。

そんな言葉を冷たく言い放ち、背を向けてしまうこともあります。

あるいは、深いため息をついて「もう無理だな、別れよう」と切り出してくるケースも。

でも、そもそもフラッシュバックは過去の記憶が引き金になったり、ストレスの爆発によって、心がコントロール不能になって起こるものです。

別に夫が憎くてそうなっているわけではありませんし、あてつけでやっているわけでもありません。

要するに、『誤解』なんです。

ところが、上記のような反応を見せる夫は、フラッシュバックがどういうものか、どうしてそうなってしまうのか、ということすら理解しておらず、「いまだに俺を責め続けて、追い詰めたいんだろう。復讐したいんだろう」という風にしか思っていないのです。

夫のそんな認識の甘さゆえ、妻のストレスはたまるばかり。

不安で辛くて苦しい気持ちを理解してほしいだけなのに、それすら叶わず、でもその一方で、夫とやりなおそうと思ってはいるから、はやく元に戻らなければと焦るし、思うようにならないもどかしさもあって、妻の心に、なおさら苦しさ、辛さが募っていきます。

『彼の反省って、こんなものなの? 結局、浮気された私が辛いだけ』
『私ひとりが苦しんで、私ひとりが耐えているだけ』

夫は夫で、「いつまでこんなことが続くんだ?」と、まるで自分が被害者のような気がして、「もうどうでもいいや」と開き直ったり、うんざりした反応を示すようになったりすることもあります。

ではどうしたらいいか、というと、これは実はシンプルな話で、『妻の心情を夫がちゃんと理解すること』に尽きます。

私のもとには、妻のフラッシュバックに悩んでお電話くださる男性も少なくありません。

で、お話を伺ってみると、多くの方は妻とやり直したい、妻をなんとかして支えたい、という気持ちをもっておられますが、その反面、奥様の心情をほとんど理解していません。自分勝手な解釈に終始していたり、奥様の反応に対して思いっきり誤解しています。

このへんのお話をさせていただくだけでも、「なるほど、妻は私を責めたいわけじゃなかったんですね」と理解されて、これからは妻が辛そうなときにはしっかり話を聞いたり、自分から妻の身になって行動を起こすように努力します、と答えてくださる方が多くいらっしゃいます。

正直、夫の認識が少し変わるだけでも、状況が好転する可能性はかなり高いです。

もちろんこれは、フラッシュバックに限ったことではありません。

日常の多くの部分で、『互いの心情を理解しあう』ということはとても大切です。

当たり前のことですが、逆に言えば、誤解や喧嘩は、こうした部分がちゃんと保たれていないことが原因で生じてしまいがちです。

 浮気をした夫が許せなくて苦しい①