別居と離婚と破綻主義

A美さんからのご相談です。

『結婚12年目になります。夫は6歳も若い愛人をつくって同棲を3年以上しています。

夫はその女性と結婚したいため、私に離婚を要求してきています。

私たち夫婦には小学校3年の子供がいますので、離婚には応じたくありません。

夫とは別居の状態が3年ほど続いていますが、離婚を拒否しつづけることはできるでしょうか』

 

基本的に有責配偶者であるご主人は、自分から離婚請求できる立場にありません。

もしもご主人が裁判を起こしても、彼が勝てる望みはほとんどないと思います。

ただ、別居状態が一定期間以上続いてしまうと、『夫婦関係が破綻している』とみなされて、離婚訴訟をご主人かした場合に、認められてしまう可能性があります。

判断の基準は以下の3点です。

①夫婦の別居が一緒に住んでいた期間と比較して相当に長いこと、

②二人の間に未成熟(親の監護なしで暮らせない)の子供がいないこと、

③離婚を認めることが、相手方にとって精神的や経済的、社会的に不利や損失が大きくないこと

①の別居期間については、一概に何年ということはいえません。実際には、別居状態が4~5年以上続くと、『夫婦関係が破綻している』とみなされることもあるようです。

ただし、この別居期間中に、たとえば週末は夫が戻ってきて妻のつくった食事を食べたり、子どもの夏休みに一緒でかけたりしているなら、その時点で別居期間はリセットされる場合があります。

つまり、全く連絡を取らず、家にも帰らず、電話もでないし、話もしない、誕生日もお正月も家族として過ごす時間が一切ない状態だとしたら、夫婦として破綻している、という判定が出ると思います。

破綻主義というのは、要は、もはや夫婦関係が壊滅的に壊れていて、修復できる見込みがなく、事実上破綻しているなら、離婚も認めざるを得ないという考え方です。

別居の期間も、以前は7年とか10年とかかなりの年数が必要でしたが、今は4、5年というケースが増えているようです。

ご相談者様の事例としては、別居3年ということで、すぐに破綻が主張できることはないと思います。また、お子さんが未成年ですし、ご相談者様は離婚を望んでいないので、仮にご主人が離婚を申し立てても、離婚は認めらないと思います。

もちろん、これは裁判所が判断することですし、他の条件とあわせて吟味されますので、確定的なことは一切言えません。

ただ、たとえご主人のほうから理不尽に離婚を求められても、妻として応じる気がないのであれば、あくまでも離婚を拒む姿勢を貫くことが大切だと思います。

 

問い合わせ