あるスーパーにアルバイトで入った女性がいます。その女性は、鮮魚の担当になりました。
彼女が希望したわけではありません。でも、欠員がそこしかなかったんです。
鮮魚の部門は、寒い、重い、危ないなどのイメージがあり、敬遠する人が多いそうです。
しかし、その女性は自分の環境は自分で作るもの、という信念があったので、大変ではありましたが、一生けん命にその仕事を頑張りました。
あるとき、部門ごとに職場改善の提案書を出すことになり、全員から意見を求められました。
ほとんどのスタッフは、設備を新しくしてほしいとか、○○が扱いづらいとか、不満や問題点を指摘する内容でしたが、その女性だけは、以前に勤めていたスーパーでは刺身が厚切りで人気商品だったことを思い出し、刺身の厚みを出すことで、商品価値をあげてはどうかと提案書に書きました。
その提案書は、上層部の間で検討され、「利益が出ない」という反対の声もあったものの、最終的には彼女の提案が採用され、厚切りになった刺身が店頭に並びました。
ほどなくしてお客の間で、「あそこのスーパーは刺身がおいしい」「ボリュームがある」と評判になり、今まで以上に客足が増えてきました。
ある日、社長が店内を見て回ると、実際に刺身のコーナーにたくさんのお客さんが集まっている様子を見て、その提案をした女性にこう言ったのです。
「何かうちの店で気づいたことがあったら、ぜひ私に言ってください。あなたが必要と思うことは、最大限に応えます」
数年後、その女性は数店舗を管理する統括リーダーに抜擢されました。
その女性が当初そうであったように、現在のあなたの環境は、あなたが望んでいるものではないかもしれません。
あなたが今やらなくてはいけないことは、あなたが本当にやりたいこととは違うかもしれません。
でも、どうか腐らず、あきらめず、どうしたら、もっとユーザーに喜んでもらえて、やりがいを感じる仕事に昇華できるか考えてみる。
そして、すぐに結果が出なくても、どうか目の前の仕事を無意味と思わないでください。
今やっている「それ」のおかげで、あなたは将来、十分に満足できる結果を得られるかもしれないのです。