子どもに対するモラハラの影響

U美さんは、娘さんの高校受験がきっかけで、夫のモラハラを感じるようになりました。

以前から、些細なことで機嫌を損ねる夫ではありましたが、U美さんとしては、穏便な生活のため、なるべく逆らわず、夫中心の生活をしてきました。

ところが、受験勉強する娘さんのために、夫よりも娘さん優先の生活をするようになってから、それが気にくわないのか、娘さんに対してまで、モラハラ的な言動が見られるようになったそうです。

「とにかく主人は、自分が中心でないと面白くないみたいです。
食事の献立や風呂の順番など、ほんとうに些細なことで娘の希望を優先すると、あからさまに不機嫌になります。
私が娘の夜食を作っていると、語気を強めて「受験生が何様だ!」とイヤミをいわれたこともありました」

「ご主人の最近の態度とか振る舞いはどうですか?」

「何とかこの状況を変えたくて、会話を頑張ってみたこともありますが、少しでも言い合いになると物を投げたり、手が付けられなくなることもあります。暴言もあり、言い返したら余計に火がついてしまう状態です。
あと、お金に対しても厳しいです。ごく普通の生活をしているつもりですが、「俺の金を使って暮らしているくせに」とか、二人で買い物に出かけようとすると「二人で買い物とはいいご身分だな」と言われたこともあります」

「モラハラはもちろんですが、DVの兆候もありますね。
ご主人は、ご家族以外に対してはどうですか?」

「主人は外では人当たりがよくて、トークも面白くて、友人も多いんです。
たぶん、友人の前では怒ったことなんてないんじゃないでしょうか。
そういえば、いちど私の両親に相談して、家族会議をしたことがありました。
そのときは、親の前ではなんだか話をはぐらかされて、とぼけてその場をやりすごして。
それで、あとですごく激怒されました。親にチクリやがって!と。
娘は高校生になりましたが、特に最近、父親を避けるようになりました。
真っ向から拒むというよりも、なるべく接触しないようにしているようです
私には、「お父さんのそばにはいたくない」といいます。
夫の様子は波がありますが、モラハラ発言は変わらずで、もしかしたらちょっとひどくなってているようにも思います。最近は私も心が折れて、話しかけるのをやめ、今は必要最小限のことしか言わないようにしています」

モラハラにはいろいろなパターンがありますが、子どもの前でもかまわず母親に心無い言葉をぶつける、嫌みを言う、怒鳴るといった行為は、子どもの人格形成上にも大きな影響が出ますし、特に女の子の場合は、男性不信、男性恐怖症につながる場合もありますので、そうした点も強く懸念されます。

なおU美さんは、ご相談いただいているなかで、ご主人との別居についてお気持ちを固めていかれて、娘さんの高校入学と同時期に、通学を理由にしてふたりで家を出て、ご主人と別居中です。
ご主人は別居については反対しなかったものの、婚姻費用の金額については話し合いができずにいます。
そのため近々弁護士を通して、婚費の支払い請求をすることで話を進めておられます。