限界突破、心のリミッターを解除せよ

もう40年くらい前になると思いますが、ある本を読んでいて、こんな一節がありました。

「あなたがくたくたに疲れ果てて、もうこれ以上力が出せないと思ったとき、あなたの身体にはまだ70%の力が残っていることを知っているか?

あなたがそのことに気づいたとき、残りの力が目を覚ます」

詳しいことはもう憶えてないのですが、要は「もう限界だ、もう無理だ」と思うのは、その時の自分が勝手に引いた線であって、本当の限界はもっと先にあるということですね。

ただ、その70%の力というものは、普通の状態では発揮されません。

よくいう「火事場の馬鹿力」のようなもの。

車のエンジンのように、アクセルさえ踏めば簡単に出せるというものではないのです。

人間の脳には、ふたつのモードが備わっています。

ひとつは、あなたに無理をさせないために力を抑制しようとする通常運転モード。

そしてもうひとつは、あなたが本気になったときに、あらん限りの力で挑む限界突破モードです。

2014年冬季オリンピック。

スキーの男子ジャンプ・ラージヒル団体に出場した原田雅彦選手は、悪天候も影響して、一回目のジャンプで助走スピードが足らずに失速。わずか79.5メートルという結果に。

これにより優勝は絶望的と思われました。

4年前のリレヒンメルの悪夢ふたたびか。

誰もがそう思ったなか、原田選手は2回目のジャンプで、バッケンレコード(そのジャンプ台で出された最長不倒距離)にならぶ137メートルを飛んで優勝を決定づけました。

あの感動的な場面、憶えている方も多いと思います。

原田選手は「もう足の骨が折れてもいい」という思いで、2回目のジャンプに臨んだと話していました。

それこそ、心のリミッターが外れた瞬間であったろうと思います。

怖い、不安、うまくいかない、失敗したらどうしよう?

それは誰でも思うことです。

でも、つかみたい未来のために、あえて超えなくてはいけないときがあります。

あなたの中に眠っている、残りの70%の力は、そのためにあるのです。