普段は物静かな夫が、浮気を問い詰めたとたんに、ものすごい剣幕で怒鳴りちらしたり、机を拳で叩いたり、怖い顔で妻を睨み付けて、別人のように豹変してしまうことがあります。
いわゆる『逆ギレ』ですね。
キレるきっかけはいろいろですが、たとえば浮気に気づいた経緯を話している中で、携帯を勝手に見られたとか、財布やバッグの中から証拠が見つかったことに端を発し、追い込まれた夫が、「そこまでやるのか!」とか「俺にはプライバシーはないのか!」といった感じで「逆ギレスイッチ」が入りやすいです。
ご相談いただく方の中にも、『夫はすぐに逆ギレするので、怖くて問いただすことができません……』とおっしゃる方が少なくありません。
そのお気持ちはとてもよくわかります。
いくら夫でも、キレられたら怖いし、その時点で話し合いもできないし、かえって手に負えなくなるので、見て見ぬふりでいるしかない……それも無理のないことだと思います。
でも、妻がそう思っている時点で、夫の逆ギレ作戦はまんまと成功しています。
どういうことかというと、ご主人が逆ギレするとき、憤りを感じていることは確かですけれど、それ以上に、逆ギレして見せることであなたをひるませ、黙らせて、なんとかして追及を逃れようとする意図が強く働いているからです。
要は、わざと逆ギレしてあなたを脅かし、立場を逆転させたいわけです。
逆にいえば、あなたはできるだけご主人の怒りを誘発せず、逆ギレスイッチを入れさせない対応をすることが大事ですが、どんなに気をつけていても、話の途中で突然キレだしてしまうことだってありますよね。
そんなとき、あなたはどう対処したらいいのでしょう?
まず、基本的なスタンスとして、ご主人の思うツボにならないことが大事です。
そのために、やってはいけないことは以下の3つです。
逆ギレされたときに、やってはいけないこと
①逆ギレの剣幕に驚いて、すぐに謝ってはいけません
逆ギレに驚いて、あなたがすぐに謝ってしまうと、ご主人の逆ギレ作戦が成功した形となり、あなたとご主人の間で立場が逆転して、あなたが責められる側に陥ってしまうからです。
②夫の勝手な主張をその場で認めたりしてはいけません
浮気を正当化しようとするご主人の主張に対して、あなたが同意すれば、そのあとの対等な話し合いができなくなってしまいます。ご主人の言い分を聞くことは構いませんが、理不尽な主張に安易に同意することは禁物です。
③感情的に言い返したりしてはいけません
感情のぶつかり合いは、何も生み出しません。ご主人が感情をぶつけてくるなら、なおさらあなたはクールに、理屈をもって淡々と接する態度を貫いてください。またご主人を否定したり、批判したりするような言葉も火に油を注ぐだけですから、できるだけ避けましょう。
どれも言われてみれば当たり前のことかもしれませんが、それでも、多くの方が間違った対応をしてしまい、状況をさらに悪化させてしまっているケースも非常に多いです。
逆ギレの対処法としては……
逆ギレした夫を見て、怖さを感じるのは当然です。
でも実は、浮気がバレたご主人も、あなたのことを相当、『怖い』と思っています。
自分の浮気が妻にバレてしまうことが、どれだけマズイことになるかは、本人もよくわかっていますからね。
だから、最後の壁一枚で、逆ギレしながら自分を守ろうと必死になっているわけです。
こうした夫側の心理、逆ギレする心情について理解しておくだけでも、いざご主人がキレ始めた時にも、あなたの心にいくらかの余裕が生まれることでしょう。
「ああ、始まったな。こうして私を脅そうとしているんだな」と、冷静にご主人を見ることができるはずです。
そして、もうひとつのポイントとして、逆ギレしているとき、ご主人はあなたのことを、自分を攻撃する存在、追い詰める存在として見ています。
要するに、あなたを「敵」として認識しているわけです。
敵として認識されている中で、あなたが敵のごとく振舞えば、ご主人は全力で反撃してくるでしょう。
でも、あなたは彼の敵ではなく、妻という同志であり、理解者であり、守るべき存在です。
だからこそ、あくまでも淡々と、ご主人を責めるわけではなく、否定するわけでもなく、理解を示せるところは理解しつつ、そのうえで、あなたが絶対に譲れないところは、あくまでも軸を曲げずに、あなたの意思を冷静に伝えることです。
それでも、あまりにご主人の逆ギレが激しく、意思の疎通が図れないと思ったときは、一旦、話し合いを中断しても構いません。
逆ギレは感情です。
感情は時間を置けば、必ずクールダウンします。
ですから、何がなんでも今すぐ話し合いをしようとするよりも、あなたが「ああ、これは無理だな」と思ったときは、しばらく時間をおいて、ご主人が落ち着くのを待った方がよいかもしれません。
ご主人も、感情が落ち着いて、現実を受け止めることができたあとは、意外と冷静に話ができる状況になったりしますし、逆ギレされてもあきらめず向き合おうとするあなたの本気さや決意の固さを感じてもらえるはずです。
そうして、逆ギレという行為があなたには通用しないということを、ご主人にしっかりと示してあげることも、実はすごく大事なことなんです。
逆ギレの対処のしかたに限らずですが、浮気に直面しているときって、夫に対する態度や接し方が明暗を分けることが多く、『そのとき、どうするか』の連続です。
「どうしていいかわからない」と思われるときもあると思いますが、逆にいえば、そうならないために大事なのは、あなた自身がしっかりと「心の軸」を持つことです。
ご主人の態度や言動に振り回されることなく、あなたにとって「何が一番大事なのか」「何のためにこれをするのか」を冷静に分析し、理解することです。
その思いが定まれば、行動も定まります。勇気も決意も湧いてくるでしょう。
そうして。あなたの心の軸に沿った行動を積み重ねていくことによって、かならず状況を好転させる結果が伴い、それがご夫婦のこれからを変えていきます。