そこに愛はあるか?

結婚5年目の女性から、こんなお話を伺いました。

「結婚したときは、本当にお互いに愛情深く、大切に思えたのに、いつしか一緒にいることの意味さえわからなくなってきて……」

夫婦になる際には、もちろん愛し合って結婚するわけだけれども、夫婦としての「愛」は始まったばかり。

当然ですが、はじめから完成されたものではありません。

これはお互いに言えることですが、結婚生活において、理想と現実のギャップもあるでしょう。

時には相手に不満を抱くこともあるかもしれません。

些細なことでけんかになったり、幻滅感を抱いたり。

『どうしてわかってくれないの?』

『うるさいな、そんなことまでわからないよ!』

感情的なぶつかり合いは、時に避けられないものです。

でも、わかりあえない不満から、そこにあるものすらも否定してしまうと、本当に大切なものを見失ってしまうことも。

とあるCMで、「コンノ、そこに「愛」はあるんか?信じられる愛は、あるんか!?」ってのがありますが、相手を批判、否定している状態では、「信じられる愛」もかすんでしまうかもしれません。

愛は認めることから波及していくものだからです。

ではどうすればいいのか?

心理学的には「愛情の再燃」というプロセスがあります。

つまり、結婚当初は愛情を感じられたのに、不満からすれ違いが生まれ、その後に愛情が再燃して、より絆が強まっていくというサイクルのなかのひとつです。

これは言い方を変えれば、、「愛情を再燃するには『きっかけ』が必要だということです。

たとえばそれは、子供が生まれたり、仕事で失敗したり、病気になったり、誰か親しい人が亡くなったり、、、(必ずしもラッキーなこととは限りません)

あるいは、何かの本を読んだり、誰かの言葉を聞いたりしたことがきっかけとなることもあります。

きっかけを得ることで、人は意識を変えることができます。そして、意識を変えられる人は、「認めることができる人」です。

認めることができれば、批判や否定の感情から抜け出して、感謝をもって相手を見ることができるようになります。

不満に思っていたことの裏に、数々の幸せが隠れていたことにも気づくでしょう。

そして、その幸せは妻(または夫)があってこそのものだと気づき、愛情はさらに深まっていく。

それが絆として強まり、信頼が強まっていく。

人はそのプロセスを人生の中でたどりながら生きていくわけです。

フローレンス・ナイチンゲールの言葉で、

『愛というのは、その人の過ちや自分との意見の対立を許してあげられること』とあります。

それを互いに理解できたとき、『信じられる愛は、そこにあります』

ご夫婦の想いはまた一歩、深みを増していくことでしょう。