夫婦の会話で夫に共感してもらうコツ

イラスト夫婦関係をよくするコツにもいろいろありますが、ここでは日常の会話のなかで、ご主人に素直に言うことを聞いてもらうためのヒントとして、「批判的メッセージを共感できる言い方に変える」ということをご紹介したいと思います。

話をわかりやすくするために、あえてご主人を5歳くらいの子どもに見立ててお話しますね。

「もうっ、毎日毎日同じことばっかり言わせないでよっ!!」と小さな子どもを叱るお母さん、よく見かけますよね。

当の子どもはちっとも反省している様子もなく、へーぜんといつもの調子でケロッとしている。

なぜケロッとしていられるのかというと、お母さんが毎日同じことばかり言っているので、子どもにとってそれは雑音でしかなく、『いうことを聞く』と言う思考につながっていないからです。

そういう親子の図は決して珍しくはないですが、これは大人の男性に対しても言えることです。

たとえば、ご主人とのドライブの最中に、「ちょっとスピード出しすぎよ。危ないじゃない?いつも言ってるでしょ?、急に子どもが飛び出すかも知れないし、パトカーがいるかもしれないし、自転車だって急に渡ってきたりするんだから」なんてつい、口うるさくなってしまうこと、ありませんか?

そのとき、きっと彼はこう思っています。「うるさいなぁ。ちゃんと見て運転してるんだからさ~。横に乗るといつも口うるさく言ってるなぁ、教習所の教官か?おまえは」

この「いつも口うるさい」と思われた時点で、ご主人の脳は、あなたの言葉の大半をカットしてしまいます。

もちろん、あなたの言うことが正しいことは、彼だってわかっています。

でも、口うるさく言えば言うほど、あなたがいくら真剣に言っても、彼の脳は、「ああ、いつもと同じことを言っているな」という程度にしか、認識しなくなってしまうのです。

それはなにも、あなたのことを軽んじているのではないのです。

あなたを怒らせたいわけでもありませんし、あなたに反論したいわけでもありません。

ただ、男性の脳は、女性が口うるさく言い出したときに、その意味を深く受け止めるだけのキャパシティがさほどありません。

だから、あなたが口うるさく言ってばかりいると、彼は『また始まった』と思うだけで、あなたのことばを理解する努力をしなくなります。

同時に、あなたの言葉に対する返答もできなくなってしまい、沈黙するか、無理やり話題を変えるしかなくなってしまうのです。

もちろんあなたも、何も好き好んで、口うるさくいいたいわけではありませんよね。

彼にわかってほしいと思うからこそ、そして、言い続けていけば、いつかは理解してくれると信じているからこそ、言い続けるわけですよね。

ならば、口うるさくいうかわりに、もっと効果的な言い方に代えていけばよいのです。

それが、『批判的メッセージを共感できる言い方に変える』ということです。

もう少し具体的に説明しますと、「あなたがしていることは、こういうことなのよ」という言い方から、「あなたがこうしてくれたら、私はこう思う(感じる)」という言い方に変える、ということです。

先ほどのドライブの例の場合ですと、「せっかくのドライブだから、ゆっくり景色を眺めたいし、スピード落としてくれたほうが私は嬉しいな」・・・・といった感じです。

『あなたは速度を出しすぎるのよ』という批判的なメッセージを、『ゆっくり景色を見せてくれたほうが嬉しい』という言い方にかえていくと、彼は、あなたが何を望んでいて、自分が何をすればいいのか理解できます。

批判的な言い方もしなくて済むので、彼の反発心を抑えて素直な気持ちにさせ、反応を変えることができます。

もしもあなたが、ご主人に対する言葉に「批判的なメッセージ」が多いと感じられるなら、まずはその言い方を「ご主人が共感できる言い方に変えてみる」だけでも、かなりご夫婦の関係が改善される可能性があります。

ただ、もちろんこれが100%絶対に効くとは限りません。

あなたが共感できる言い方をしても、彼が必ずしも共感してくれるとは限らないからです。

そういう場合はさらに、いくつかの心理テクニックを使って、あなたが望んでいる方向に、ご主人の思惑を誘導する方法もあります。

たとえば、「スピード違反で捕まりたくない」という心理は彼自身が持っているはずですから、「このままだと捕まる」と思わせてしまえば、彼は自然にスピードを下げますよね。

人には行動のきっかけとなる「言葉」がありますので、これをうまく使うと、本人には自分の意思だと思わせといて、ほとんどあなたの思うとおりに動かすこともできてしまいます。

これはこれで、面白い話がいろいろありますが、それはまた、別の機会にお話しさせていただきますね。