以前に、ある男性からこんなご相談がありました。
その方は自分自身が浮気をしていて、もちろんそれは妻に悪いと思っているけれど、少しだけわかってほしいことがある、ということでした。
彼は次のように言いました。
「家に帰っても、家族の中に自分がいないような気がするんです。
決して家族から拒否されているとか、そういうわけではないです。
でも、なんだか自分の居場所がないし、どうしようもなく疎外感がつのってしまうことがあります。そして、いったい自分は何のために働いているのか虚しくなります。
家族にとって、自分は必要とされているのか疑問に感じることもあります」
夫が抱くこうした疎外感やむなしさは、妻に問題があるというよりも、子育てや家事の大変さを理解できずに、妻に甘えられない不満から、夫が一方的に感じている場合が少なくありません。
男はみんな、『ひとり好きの甘えんぼ』
男性はおおむね、自由気ままを望みながらも、子どものように妻に甘えたいと思ったり、かまって欲しいという欲求を潜在的に持っています。
そして、日常の忙しさや時間のなさから、その欲求が満たされないときに、夫婦のコミュニケーション不足も加わって、妻以外の女性に優しくされたり、親しくなるきっかけができてしまうと、『妻よりも彼女のほうがオレを必要としてくれている』と感じて、その女性を心のよりどころにしてしまうことがあります。
実際、浮気をした男性の言い分として、『家庭の中に居場所がなかった』と主張するケースはかなり多いです。
この『居場所がない』というのは、『場所』という空間的なものではなく、たとえば妻と子どもが楽しそうに話をしているときに、なんとなく会話に加われずに疎外感を感じたり、家族で一緒にいるのに、そこに自分がいることに違和感がある、といった感覚的なものです。
そして、朝から夜まで仕事で普段から家にいないお父さんほど、結果的に家族と一緒にいることがしんどくなり、休日も自分ひとりで過ごすことが増えていったりしがちです。
一方、家族のなかでも「お父さんはいないのが当たり前」となってしまって、そういう環境がなおさら浮気の温床となってしまうこともあります。
もちろん、だからといって、それが浮気を正当化する理由にならないことは当然です。
ただ、このような男性心理を少しでも知っておくことで、夫との日常のコミュニケーションの取り方が違ってきますし、それが結果的に浮気の予防につながることは、少なからず言えることだと思います。