夫婦の不仲でうつ病になった妻が治った実例

うつ病になってしまった人が、あることをきっかけに、短期間に回復できたケースも実際にあります。

ここでは、ひとつの事例として、以前にご相談をいただいたA子さんのケースをご紹介します。

A子さんは、あるときからご主人と不仲になり、とても悩んでいました。

不仲になった理由に、A子さんは当たりがありませんでした。

「いままではあんなに仲のよい夫婦だったのに、どうして?」

A子さんは、ご主人が冷たかったり無視したりするのは、「私に不満をもっているからだ」と考えました。

そこで、パートで働きながら子育てをしていたA子さんでしたが、夫の食事には今まで以上に手間暇をかけ、疲れているときも掃除と部屋の整理は怠らず、常に明るく振る舞うように心掛けるなど、できることはなんでもやったそうです。

しかし、彼女がいくら努力を重ねても、ご主人の態度は軟化するどころか、逆にますます彼女を避けるようになり、やがてほとんど家に帰ってこなくなりました。

A子さんは、どうしていいかわからず、思い詰める日々が続きました。

社交的で明るかった性格も、別人のように変わってしまい、心配した友人が、彼女を心療内科に連れて行ったところ、「うつ病」と診断されたのです。

「まさか、自分が『うつ病』だなんて……」

でもA子さんは、自分がうつ病と診断されたことは、どうしてもご主人には言えなかったそうです。

「主人がそれを理由に、離婚を切り出してくるのではないかと思い、怖かったんです」

A子さんがご主人との関係を修復したいとお電話をくださったのは、うつ病と診断されてから3ケ月ほど経ったころでした。

A子さんは、初めはご主人の浮気を疑っていなかったのですが、ご相談を伺っていく中で、原因はA子さんあるのではなく、ご主人が浮気をしている可能性が高いと直感しました。

その理由は、ある時を境にご主人の様子が急変してしまったことや、A子さんの努力を疎ましがったり、挙動不審な言動が増えている点からでした。

そこで、ご主人の衣類、持ち物、乗っている車などにその証拠がないか調べてみるようにお伝えしました。

すると、ご主人の車のシートの下に見たことのない封筒を発見し、そこに浮気の赤裸々な証拠を見つけることができました。

相手女性と会った日付、場所が書き込まれた手帳、相手女性からもらった手紙、ラブホテルのカード、プリントアウトされた写真、避妊具までありました。

本来なら、ショッキングな証拠ですよね。

でもA子さんは逆に、これらの品々を見たとたん、「ああ、これが原因だったのか」と納得がいって、すーと気が楽になっていったそうです。

そして、今まで夫に気を使っていたことがバカバカしくなって、「もう悩むのはやめよう」と自分の中で吹っ切ることができたそうです。

A子さんは、すぐにそのことを私に報告してくださいました。

電話口のA子さんの口調は、たしかに以前と比べて格段に明るくなっていて、気力と思考力が戻っていることを感じました。

「これなら大丈夫」と確信を持った私は、まずご主人に対して過剰に気を使って過ごしていた生活を、もとどおりの無理しない接し方に戻していただき、本来のご自身の生活リズムを保ちながら、「自信を取り戻すための思考」を持つようにアドバイスさせていただきました。

A子さんのうつ病の症状は、それから日を追って軽減されていき、数週間後にはすっかり治ってしまったのです。

もちろん、しばらくは医師のもとで治療は続けていましたが、やがて医師からも「もう通わなくて大丈夫だよ」といわれたそうです。

治療が功を奏したこともあると思いますが、A子さん自身のなかで、原因の所在がはっきりしたことで、自己否定や自信をなくしていた状態から抜け出せたことも、早期回復の大きな要因だったと思います。

もちろん、ご主人の浮気は、早期に十分な証拠が出てきたこともあり、きっちり終わらせることができました。

今では主人とも仲のよい状態に戻られて、幸せに過ごしていらっしゃいます。

(ご本人の了承のもと、事例としてご紹介させていただきました)