これまでうつ病は、「心の病気」だと言われてきました。
本人の気の持ちようだとか、心の弱さからくる精神的なものだと。
ところが最近になって、うつ病は、セロトニン、ノルアドレナリン、ド–パミンという三つの脳内伝達物質の機能が低下して発症することがわかってきました。
セロトニンとノルアドレナリンは、心のバランスをとったり、気分を高揚させる働きがあります。
またドーパミンは、やる気や意欲を沸かせ、楽しみを求めたり、目標達成のときの満足感などを感じさせます。
この3つの脳内物質が低下したとき、心のバランスはくずれ、気分は落ち込み、やる気がなくなり、不安や無気力さから行動は消極的になり、考えは否定的で、何をしても楽しくなくなります。
これが表面化したものが、「うつ病」なわけです。
で、問題は、なんでこの脳内物質のバランスが崩れてしまうのかという点ですが、これはまだよくわかっていないみたいです。
ただ、何らかの理由で自分の中に許容量を超えたストレスが生じて、現実的な対応ができなくなり、本人自身がその中から抜け出せない状態だということは言えると思います。
夫の浮気によって「うつ病」を発症する女性の多くは、責任感があり、真面目で優しい性格である反面、繊細で傷つきやすく、ストレスに弱い傾向があります。
そして、夫が浮気をした原因や理由を自分の中に探し続け、「こうなったのは私のせいだ」と自分を責めたりして、許容量を超えたストレスをまともに受けてしまうわけです。
ご相談いただく方の中には、医師の診察を受けて「うつ病」と診断された方や、ご本人の真面目な性格ゆえに、極度の自己否定、自己嫌悪の状態に陥ってしまっている方もいらっしゃいます。
ですが、そうした方々も、夫が浮気する心理や理由などをご説明させていただくと、自分が非を感じる必要はないのだということを理解されて、それだけでもかなりストレスが緩和されて、気持ちが楽になられるようです。
うつ病はいちどかかると治るのに時間がかかると言われていますが、こうした本人の意識の転換や理解によって、症状が悪化したり長期化させることなく、改善できる場合も少なくありません。
コツとしては、自分の責任範囲をしっかりわけて、相手に非があることは「これは自分のせいではない」とか「自分が悪いわけではない」と正しく認識することです。
これによって、理不尽に自己否定や自己嫌悪に陥っていた脳は、思考力を取り戻してふたたび動き出すことができるようになります。
うつ病は、「自分自身」を否定する心が引き金になることもよくあります。
でも、ご主人が浮気をしたのは彼の勝手です。
彼が浮気をしたからといって、あなたが壊れる必要はないのです。
まして、あなたが自己否定したり、自己評価を下げたところで、お二人にとってプラスになることは何もありません。
それよりも、あなた自身がご自分を見失わないこと、お辛いとは思いますが、ご自身のメンタルを保つことこそ、最も大事なことの一つだと言えるのです。