告白・妻の覚悟に震えた夜

不倫を乗り越え、ご夫婦の関係修復をされているY男さん。

Y男さんは、かつてのご自分を振り返り、次のよう話されています。

『当時、私はある女性に夢中でした。

私は会社を経営していて、その当時の経営状態は、新しい事業に投資をしたものの思うようにいかず、借金の返済で大変でした。

そんな中で、ふとしたきっかけである女性と知り合い、頻繁に会うようになりました。

彼女が欲しいものは何でも買い与え、旅行にも連れて行きました。

そんなことができる余裕はもちろんありません。

でも、彼女に嫌われたくない思いと、辛い現実から逃げたかった自分の弱さから、やめることができませんでした。

そんな状態ですから、妻には彼女の存在はすぐにバレてしまいました。

私が釈明する間もなく、「その女性とどうするつもりなの?」と聞かれました。

私が口ごもっていると、妻は、「あなたが離婚を望むなら、そうしてあげます。ただし条件があります。子供たちの親権は渡しません。お金は請求します。それから離婚する前に一度だけ彼女と電話で話をさせてもらいます」と言われました。

私は離婚するつもりなど毛頭なかったのですが、妻との話の流れの中で「君がもう無理というのなら、仕方がないな」と答えてしまいました。

「私のせいなの?私が決めるの?それって違うんじゃない?」

「俺が何を言ったところで、答えは出てるんじゃないのか?」

そんなやりとりがしばらく続いたと思います。

「わかった。もういいよ」

妻はそう言って、私の携帯から、私の目の前で彼女に電話をしました。

電話に出た彼女に対して、妻はこう言いました。

「あなたがうちの主人と結婚したいというなら、私は身を引きます。

あなたには慰謝料を請求します。それは当然の権利なので、やらせてもらいます。

それから、主人から聞いているかどうか知りませんが、ウチは会社の負債が3億円あって、借金も7000万くらいあります。家計は火の車です。自宅も担保に入ってますから、財産はありません。お金が目当てなら、ほかの人を当たったほうがいいと思います。

あと、夫には要介護の父と認知症の母がいます。今までは私が面倒をみてきましたが、これからはあなたがお願いします。ちなみに夫も糖尿の持病持ちなので、いずれはあなたが介護をすることになるでしょう。

私は、たとえ彼が寝たきりになろうと添い遂げていく覚悟でいました。彼と結婚する以上、あなたにはその覚悟があるのでしょうね?」

目の前で彼女にそう話す妻を前にして、私は思いっきり往復ビンタをされた気分でした。
妻の覚悟、本気さを見て、自分の甘さ、情けなさを恥ずかしくなりました。

妻が「それでもいいなら離婚してあげますよ」と言ったとき、逆に私は、妻を失う怖さと焦りで、思わず妻から電話をもぎ取り、その場で女性に別れを告げました。

強い妻だと思いました。でも、抱きしめたとき、妻は震えていました。

私の嘘に気づいたとき、私に話を切り出すとき、妻はどんなに怖かっただろうか。

これまで信じて支えてくれていた妻に対して、なんてことをしてしまったのか。

本当に申し訳ない気持ちで、思い返して私も体が震えました。

それから、妻との関係修復の日々が始まりました。そして、それは今も続いています。