夫の不倫によって、妻が性感染症(性病)に感染してしまった、というお話を伺うことがあります。
また、『不倫が発覚したあとに、やりなおす条件として、妻から性病検査を求められました』という男性もいらっしゃいます。
男性のなかには、こうした性病検査について抵抗を感じる方も多いですが、一方で妻は、夫からの性病感染を例外なく心配しています。
実際、性病のなかには、かなり怖い病気もあります。
そこで、『知らないと怖い性感染症の話』というテーマでお話したいと思います。
不倫相手との性行為によって、その女性が保有しているウイルス、細菌などに感染し、男性が媒体となり、妻を二次感染させてしまう事例は、決して珍しくありません。
2014年以降、梅毒などは年々増加傾向にありますし、当事者の男性自身が感染してしまうことは自業自得で済むとしても、妻を二次感染させてしまうことは、もはや夫として責任の取り切れない結果になりかねません。
性病は性器、泌尿器だけでなく、肛門、口腔接触によっても感染します。
つまり、いわゆるアナルセックス(肛門性交)、オーラルセックス(口腔性交)でも感染するということです。
性感染症としては、梅毒、クラミジア、淋病、HIV(エイズ)などがよく知られていますが、ほかにも性器ヘルペスや尖圭(せんけい)コンジローマ、トリコモナス症、性器カンジダ症、B型肝炎、A型肝炎、アメーバ赤痢などたくさんあります。
私がご相談いただいた中では、夫が浮気相手との性行為によって「性器ヘルペスウイルス感染症」のウイルスを宿してしまい、妻も感染させてしまった、というケースがありました。
ヘルペスウイルスは一度感染すると生涯体内に残り、ストレスがたまった時や免疫力が低下したとき、あるいは妊娠中にも再発しやすく、しかも男性よりも女性に症状が重く出る傾向があります。
つまり、夫が不倫をやめたあとにも、妻は相手女性からもたらされたウイルスと一生付き合いながら、その発症のリスクを抱えて生活しなくてはならない、ということです。
また、不倫をした夫に性病検査を受けるように求めて、夫婦ともども調べた結果、妻の体内からヒトパピローマ16型というウイルスが見つかった、という方もいらっしゃいました。
このウイルスは子宮頸がんの原因になるといわれています。
この方は、子どもを出産する前の検査では異常は見られなかったのに、夫の不倫のあとに性病検査をしたらこのウイルスが見つかったそうです。
【補足】 ヒトパピローマウイルス(HPV)は100種類以上あるのですが、そのうちの15種類が子宮頸がんや尖圭コンジローマの原因になるといわれています。通常は感染は一時的で、ほとんどの場合は消えてなくなるのですが、体内に数年~十数年の長期間ウイルスが滞在している場合は、悪性となり発症する場合もあるといわれています)
ほかには、夫の不倫によって何度もクラミジア感染症になった、という方もいらっしゃいました。
クラミジアは免疫ができないので何度も感染します。
男性は尿道のかゆみなど症状は軽いのですが、女性は卵管炎、骨盤内炎、肝周囲炎などを発症し、子宮外妊娠や不妊症に原因となることがあります。
なおクラミジアは喉や直腸、尿にも存在するので、アナルセックス、オーラルセックスによっても感染する可能性があります。
さらに性病は胎盤を通して胎児に感染し、生まれてくる子どもの命に係わることもあります。
『自分は大丈夫』とおっしゃる方もいますが、万が一にも奥さまに感染させてしまったら、本当にその責任をとり、償いきることができるでしょうか?
不倫に心当たりがある方は、軽はずみな行為によって、ご自分のみならず、奥さまをさまざまな感染症の危険にさらしていることを、よくよく自覚しておく必要があると思います。