先日、あるご相談者様から、こんな電話をいただいたことがあります。
「ある浮気カウンセラーが書いた本を読んでいて、『夫に浮気をやめて欲しかったら、夫を信じて、夫のすべてを受け入れてあげなさい』と書いてありました。
夫のことを信じたい気持ちはありますが、浮気をされているのがわかっていて、すべてを受け入れることなんてできないです。
私の努力が足りないということなのでしょうか。牧口さんはどう思われますか?」
実は、こんなふうにおっしゃる方、結構多いです。
最近は、浮気されて苦しんでいる妻に対して、『どうしてこんな状態になるまで放っておいたの?』とか、『もっと頑張りなさい、もっと大きな器で夫を受け入れなさい』といった、いわゆる『アメリカ式』のカウンセリングをする人が増えています。
でも、『浮気をした夫よりも、浮気をされた妻のほうに責任がある』という見方は、実際に電話やメールでたくさんの方のご相談を伺っている私としては、一概に同意しかねる思いもあります。
それでなくても、ご相談をお寄せくださる奥様の中には、「私が子育てに忙しくて夫のことをかまってあげなかったから・・・・・」とか「私が家事にだらしなくて、妻として至らなかったから・・・・・」と自分を責めてしまう方が少なくありません。
「私がもっと良い妻になれば、夫は戻ってきてくれる・・・・」そう考える方もいらっしゃいます。
でも、正直いいまして、どんなに妻が家事を完璧にこなしていて、良妻賢母の鏡だったとしても、浮気をする男性は、おかまいなしに浮気をします。
そもそも浮気というのは、『○○だから浮気する』などというような、理由を据え付けて始まるものではありません。
たとえ妻に不満があるような場合でも、それと引き換えに浮気を始める、というものではないのです。
ただ、浮気がバレたときに、反省や謝罪をするどころか、『俺が浮気をしたのはオマエのせいだ!』とか、『俺のことをほったらかしにしたオマエが悪いんだ』と開き直る夫も確かにいます。
でも私は、いかに妻に不満があったとしても、その理由をもって「妻の努力が足りない』とか『妻のほうに責任がある』ということでは、決して良い結果にはつながらないと考えています。
たとえば、子育てに忙しいなかで、毎日食事の用意をして、掃除洗濯をし、買い物に行き、自分の身なりさえお構いなしで頑張っている妻に、「もっと頑張りなさい、もっと夫のことを大事にしなさい」という解決方法は、浮気されている精神的な苦しみを抱え込んだまま、今以上に妻ばかりが忙しく辛い状況になるだけですし、もとより、そんななかで夫の相手をしている余裕などあるはずがないです。
むしろ、そんなときにこそ協力しあい、労わりあうのが夫婦というものではないでしょうか。
また、もしも妻に不満があるなら、「こういう部分はこうして欲しい」と話し合しあって、理解しあう努力をすることが必要なはずで、不満をタテに浮気を正当化してよいはずがありませんからね。