定年後の夫婦の現実 その①

定年退職した男性Aさんは、「今まで忙しくて、なかなか妻と過ごす時間が持てなかったけれど、これからはその分、妻と一緒に仲良くのんびりと暮らしていきたいです」とおっしゃっていました。

(この方は、お仕事の不安や悩みについて、私のメンタルコンサルティングを受けられた方です)

ところが数か月後、Aさんから、「妻との関係がよくない。もしかすると離婚になるかもしれない」というご相談が寄せられたのです。

ご主人が定年退職してわずか半年足らずの間に、いったい何があったのでしょうか?

私は、Aさんはもとより、奥さまから詳しくお話しを伺う必要があると感じました。

Aさんからも「妻との話し合いに立ち会ってほしい」というご依頼を受け、ご夫婦でのメンタルコンサルティングを実施させていただく運びとなりました。

私はまず、奥さまに、ご夫婦の一日がどんな生活になっているかを伺いました。

「朝起きる時間はふたりとも一緒で、だいたい6時半ころです。

主人は朝食前に、働いていたときから購読してきた新聞3紙を丹念に読みます。

その間に私は朝食を用意し、ふたりで食べます。

そのあと、私は台所の後片付けをして、洗濯や掃除をします。

主人は私が何か頼めばやってくれますが、たいていはリビングのソファに座ったまま、スマホをいじったり、テレビをみたりしています。

昼近くなると、私は昼食を用意し、ふたりで食べます。

主人は昼食後にソファにゴロンと横になり、1時間ほど昼寝をします。

私はその間に台所の後片付けをして、夕方近くなるとスーパーに買い物に行きます。

買い物から帰ると、私は干してあった洗濯物を取り込み、夕食をつくります。

主人は食事をしながら1時間以上かけてお酒を飲みますので、台所を片付けるのはそれ以降になります。

主人はだいたい10時ころに寝ます。だいたい毎日、その繰り返しです」

ひととおり、一日の流れを説明されたあとに、奥さんはふうっと息を吐いて、ひとこと。

「すごく疲れます」

Aさんは黙ったままでした。

妻が何を言いたいのか、わかりかねている様子でした。

「自分は何か悪いことをしただろうか?」と考えあぐねている感じもありました。

奥さんの言葉は、決して夫を責めているものではありません。

ただ、一日の流れを私に説明してくれただけです。

でも私は、そこに言葉にならない不満やストレスが蓄積している様子を感じました。

そんな奥さんが口にした次の言葉は、Aさんにとって、とても衝撃的なものでした、、、、

 

定年後の夫婦の現実 その②に続きます