妻に離婚を切り出されたとき

夫婦喧嘩のときに『あんたとは離婚よ!』と言われてしまったケースは、単なる感情のぶつけ合いで出た言葉なのでこの限りではありませんが、妻から離婚を切り出してくるときの心情としては、大きくわけて2つあります。

ひとつは、ご主人を試している(反応を見ている)。目を覚まさせたい思いから、離婚という言葉を使ってショック療法を試みている場合。

もうひとつは、ご主人に対して失望感をもって、夫婦としての未来に幸せを感じていないとき。

離婚を切り出されたから、もうしょうがない。離婚に応じるのが自分の責任だ、という男性もいます。

でも、もしも奥様の気持ちが前者だった場合、「そんなに簡単に離婚するっていうのは、本気でやっていく気がないからでしょ?」となってしまうこともあります。

妻が本気で離婚を求めてくる場合、直接の話し合いを避けて弁護士を立ててきたり、親御さんや第三者が間に入って、協議離婚の段取りを進めようとすることがあります。

そのような場合、ご主人が有責配偶者である以上、離婚を拒むことは、基本的には難しいかもしれません。

ただその場合でも、やり直したいというお気持ちがおありでしたら、ご主人の思いはしっかりと奥様にお伝えになり、行動や姿勢に反映させていくことが大切だと私は思います。

それは、実際のご相談を伺っていて、夫婦が離婚に至るときに、たとえ離婚届を書き上げて、明日の朝に役所に提出するだけという段階になったとしても、土壇場で離婚を撤回されるケースもありますし、『離婚は最後までわからない』ということも実感としてあるからです。

それは、やはり長年連れ添った夫婦が、いよいよ夫婦として最後の日を迎えようとする時に、これまでの日々を振り返ってみれば、やはり楽しかった思い出もあるし、決してつらいだけの日々ではなかったと思い返すこともよくあるので、そういうなかで、お二人の思いがふたたび通い合い、寸でのところで離婚を回避できた事例もあります。

ですから、離婚についての主導権は奥様がもっているかもしれませんが、ご主人もまた、最後まであきらめずに、離婚を回避できる可能性があるなら、愚直に努力しつづけることも、大事なことのように思います。