フラッシュバックについて(続き)

(前半はこちら)

では、夫婦関係の修復には実際にどれくらいの時間がかかるのかというと、先ほど触れたように、奥様の不安が収まり、フラッシュバックが沈静化するまでに半年~1年前後かかり、その後さらに夫婦関係を再構築するために1年ほどかかることが多いようです。

つまりトータルで1年半~2年程度というのが、私がご相談を伺っているなかで感じる一般的な修復期間です。

フラッシュバックが発生する頻度や程度によっては、男性の中には、自分が悪いということは理解しつつも、フラッシュバックのたびに妻に責められているように感じて、『いつまで言ってる気だ?』『これ以上どうすればいいんだ』といった感じで妻を批判したり、拒絶するようになってしまう方もいらっしゃいます。

ですが、そもそもフラッシュバックは発作的なものですから、奥様が自分でコントロールできることではありません。

いくらご主人を責めるような言動があったとしても、奥様様自身はご主人のことを憎いわけでも、追い詰めたいわけでもなく、ただ感情を抑えきれずに爆発させているだけだったりします。

でも、そうした奥様の心がわからないと、ご主人のほうが『どうしていいかわからない』という状態に陥ってしまい、修復自体をあきらめてしまったり、むしろご主人のほうが精神的に病んでしまい、うつ病等を発症してしまうこともあります。

ほとんどの男性は、「妻に一日も早く元に戻ってもらいたいです」とおっしゃいます。

それは本当にその通りだと思いますが、奥様が元通りに戻るためには、ご主人が謝罪して相手女性と別れてくれるだけでは十分ではありません。

奥様はそのあとも、辛く苦しかった頃の記憶と戦い、自分の不安や怒りといった感情と戦い、ご主人に対する不信感と戦っていかなくてはならないからです。

そういう意味で、フラッシュバックによって、自分の感情をコントロールできず苦しんでいるのは、実は奥様自身です。

それを理解されるだけでも、ご主人の心の受け止めようが変わってくる部分もあると思います。
なおフラッシュバックは発作的に始まりますが、ある程度感情が放出されれば、落ち着きを取り戻していきます。

お電話いただく女性に『フラッシュバックになったときに、ご主人にどう接してほしいですか?』とお尋ねすると、『つらい気持ちを理解しほしい。話を聞いてほしい』、『手を握ったり、肩を抱いていてほしい』『気持ちが静まるまで寄り添っていてほしい』とおっしゃる方がとても多いです。

奥様はご主人を責めているのではなく、心のSOSを発しているだけですから、その気持ちを受け止めて、『つらい思いをさせてごめんね』、『大丈夫だから。ずっと一緒にいるからね』といった言葉とともに、決して否定的にならず、そばにいてあげることが大切と思います。