夫婦コンサルティング~『家事は妻の仕事?』

ある年配のご夫婦の電話コンサルティングをさせていただいたときの話です。

週末になると喧嘩になるというご夫婦。

その理由をお尋ねすると、奥さまは『主人があまりに家事に対して無関心で、何も手伝ってくれないので、つい文句を言ってしまいます』といいます。

一方のご主人は『手伝ってほしいなら、そう言ってくれればいいのに、いきなり怒り出すから訳が分からない』とのこと。

すると奥さまは、『私ばかり大変なのが見てわからないの?言ってくれたら手伝う、という姿勢じたいが問題なんじゃないの?』と言葉を発し、ご主人は『言ってくれたら手伝うというのが何が悪いんだ?』と半ギレで反論。

あやうく喧嘩がはじまりかけました。

(私は内心、『なるほど、こういう感じで始まるんですね、、、、よくわかりました』と思いました)

『まるで家事は自分には関係ない、という態度の主人にがっかりです』という奥さまと、『僕がヘタなことをすれば、君はかえって文句を言うじゃないか』と火に油を注ぐご主人。

そりゃあ、喧嘩になりますね。

ご主人は、「私だって、ずっと仕事一筋で頑張ってきて、家事のことは妻まかせだったし、妻が望むように気を利かせて手伝うなんてできないです。以前に妻が食事を作っているときに、少しは手伝おうと思って台所に行ったら、『邪魔だからあっちいってて!』と言われてしまって、、、、邪魔に扱われてまで、僕は何を手伝ったらいいんでしょうか」とおっしゃっていました。

特に年配の男性は、「家事は妻がやるもの」という認識のままにずっと暮らしてきている傾向があり、今さら家事の分担だとかいわれても、何もできないし、やっても満足してもらえない、と考えがちです。

確かに、ふだん家事をやっていない男性が、いきなり妻と同じレベルで家事をこなすことなどできないでしょうが、だからと言って初めから無理、と決め込んでは夫婦の溝は広がるばかりです。

そこで、ご主人にはひとつのご提案として、『奥さまに言われたことをその都度やろうというのではなく、まずはひとつでもいいから、「これはきちんと自分が全部できる」ということを決めるとよいですよ』とお話しました。

たとえば、『週末には自分がお風呂を洗う』とか『毎朝玄関先を掃除する』といったように、『この部分は自分がやろう』と決めて、自主的にそれを行うことです。

そうなれば、それは妻の手伝いではなく、夫自身が自ら行う家事のひとつということになりますから、何をしたらいいかわからないということもなくなりますし、その分の妻の負担は多少なりとも軽減されるはずです。

ただし、風呂掃除ひとつとってみても、やり方や注意点がありますから、『素直に妻から教わる』という姿勢はとても大事です。

あと気を付けなくてはいけないことは、男性は少し家事をやると、つい得意になって「僕はお手伝いしたよ」というアピールをしがちですが、夫がやる家事など、妻から見たら全体のごく一部に過ぎないことを忘れないことです。

そのうえで、次に何をしたらいいか、どういうことをすれば妻にとって助けになるか、ということを考えていけば、できることも少しずつ増えていくようになっていくはずです。