あるご相談者様のコンサルティングをさせていただいたとき、こんなお話を伺いました。
「あるカウンセラーに夫の浮気を相談したら、『ご主人が浮気をしたのは、あなたに相当な原因があります。どうしてこうなるまで放っておいたのですか?ご主人に戻ってきてほしければ、もっと努力して、あなたが変わることが必要です』と叱られてしまいました。私が悪かったのでしょうか?」
この方は、大きなショックを受けて、とても苦しんでおられました。
「夫の浮気は、妻のほうに原因がある」という考え方は、私は個人的には賛同しかねるのですが、そもそもカウンセリングとは、自分の受け止め方や環境を変えることで、自分の中で問題を克服するというロジックですので、そういう話し方をされるカウンセラーの方もいらっしゃるようです。
決してそれ自体を否定するわけではありませんが、私は、ここにふたつの問題があると感じています。
ひとつめの問題は、夫の浮気は、この方の努力不足(放っておいたこと)が原因だったと、本当に言えるのか?という点です。
詳しくお話を伺ったところ、この方には3歳と1歳のお子さんがいらっしゃって、家事と育児をすべて自分ひとりでこなしていました。
朝は夫のために、毎日お弁当を作っているそうです。(ちなみに5時起きだそうです)
自分のことも後回しにして、子どもの世話をして、買い物に行き食事をつくり、掃除や洗濯をしている日々のなかで、この方に「努力不足」を指摘すること自体、私には理解できません。
しかもこの方のご主人は、帰宅が夜中の11時を過ぎたころなので、平日は事実上母子家庭に近い状態でした。
この状況の中で、「夫が浮気したのは、放っておいた妻が悪い」というのは、あまりに酷という気がします。
二つ目の問題は、仮にこの方が努力不足だったとして、「では、何をどう努力したらいいのか?」の具体的な方向性が示されていないということです。
これは「よい妻になるな」の記事でも触れていることなので、詳しくは割愛しますが、頑張る方向が違っていれば、どんな努力も水の泡どころか、マイナスにしか働きません。
今の時点でも、めいっぱい頑張っている人に、「もっと努力しなさい」というのは、本人が崩壊していくだけです。
たいていは、そのために睡眠を削り、子どものための時間を減らし、「努力」という名目のもとで、自分を追い込んでいきます。
その結果、精神的に不安定になったり、ストレスで不眠症になったり、ちょっとしたことでも子どもを激しく叱ってしまうなど、身体的にも精神的にも限界を超えてしまう方もいらっしゃいます。
当然、長くは持ちません。多くの場合、3か月がいいところです。
そして、その3か月が経過するころ、夫の状況はかえって悪化することが大半なのです。