風俗・枕営業は浮気ではない?

風俗とか枕営業など、対価を払って行う肉体関係は浮気ではない、という裁判所の判例があります。

イラストこれには私自身、いささか違和感を覚えるのですが、風俗の場合、男性は店が提供するサービスを対価を払って受けているだけで、相手女性は仕事として、あくまでお客という認識なのだから、不倫とはいえないということのようです。

ただし、法的にみると「不貞行為」とは、配偶者としての貞操義務の不履行を意味し、民法770条に離婚事由として規定されています。

旧民法では、貞操義務違反は、姦通罪にも問われる罪とされていましたが、現行法には貞操義務についての明文規定がありません。

ですが少なくても配偶者の不貞行為を離婚事由としていること(民法770条1項1号)や、重婚を禁止していること(同732条、刑法184条)点からみても、現在もやはり貞操義務は法律上の義務とされていまして、もちろん夫と妻の両方に課されています(夫婦の本質的平等、民法2条、憲法24条)

つまり、たとえ風俗であろうと、そこで妻以外の女性と性交渉を持てば不貞行為であり、貞操権侵害に基づく不法行為として損害賠償責任、つまり慰謝料請求の対象となります。

ただ、裁判所の判例が出たことで、風俗店や枕営業での行為で、相手も特定の女性とは限らない場合、一般女性との自由意思による不貞行為とは違って不倫にはあたらない、という逃げ道ができてしまったわけです。

 

もちろん、不貞行為は離婚事由として認められている為、風俗店に行ったことを理由に離婚請求をする事は可能ですが、一度だけで本人が深く反省していたり、一時的な気の迷いからの行為であれば、婚姻を破綻させたとはいえず、もしも裁判になってしまった場合は、夫婦関係の修復が可能と判断されることもあり、離婚請求が棄却される可能性があります。

尚、風俗店で働く女性と店の営業と関係なく私的に会い、女性の自由意志で肉体関係を持った場合は、 その女性に対しても慰謝料を請求する事ができます。

 不倫していた夫が離婚を切り出してきた時