カウンセリングが裏目に出るとき
よくご相談者様から、カウンセラーに夫の浮気を相談したところ「もっとご主人に優しくしてあげなさい。そしたら戻ってくるから」とか、
「ほかの女の人に向くのは、あなたがそうさせてるんじゃないの?」とか、
「とにかく太陽のように愛して許して、受け入れなさい」と意味不明なことを言われました、というお話を時折うかがいます。
カウンセリングというもの自体、直接的な解決方法を提示するというよりも、クライアントの心の持ちようや受け止め方を変えることで、現実を乗り越える手助けとするものです。
これはこれで、立派なメンタルケアのひとつなのですが、浮気は必ず相手がいる問題なので、妻が一方的に優しくしたり、愛情を示すだけで解決できるほど単純ではありません。
もちろん心の持ちようも大事なのですが、それとあわせて浮気の解決のためには、相手に対して自分がどう行動するか、現状に対してどう対処するのかなど、具体的な対応がどうしても必要です。
カウンセリングは相談者側の視点からしか対処ができないため、その点が非常に弱いです。
ある意味、そこがメンタルコンサルティングとカウンセリングの違いといえる部分です。
多くの方は、その違いを理解することなく、解決方法をもとめてカウンセリングを受けてしまうため、そのときのアドバイス(らしきもの)を鵜呑みにして、状況をさらに悪化させてしまうことがあるのです。
カウンセリングの弊害に注意
これは、日本のカウンセリングが、いわゆる欧米型のスタイルをベースにしたものであるため、必ずしも日本人の国民性と合致していないことも要因として言えると思います。
アメリカにしろヨーロッパにしろ、トラブルが発生したときには、まず自分が謝罪するよりも相手の過失を指摘して、自分を正当化するという国民性があります。
これは、自分の過失を認めると、すぐに訴訟だとか賠償の話に発展するので、たとえ自分に過失があっても、安易に認めてはいけない、という考え方が根付いているからです。
ところが日本人は、おおむね素直な人が多く、自分が悪いと思ったら率先して反省し、状況を改善しようとする国民性があります。
たとえ浮気をされたときでも、自分が妻として至らなかったからではないかとか、自分がもっと夫を大事にすればよかったとか、自分が苦しみつつも、相手を気遣うような気持ちを根本的に持っていることが多いのです。
理不尽さに心が崩壊するリスク
浮気された妻に、ほとんど一方的に「夫を許しなさい、もっと自分を反省しなさい」というのは、どう考えても理不尽な話です。(私はそう思います)
でも、藁にもすがる思いで相談されている方々ですから、カウンセラーからそのように言われてしまうと、真面目な人ほど真に受けて頑張ってしまうんです。
頑張って頑張って、でも状況は好転せず、なんならジワジワ悪化してる気さえする、、、、
終わりの見えない苦しみの中で、ますますストレスを抱え込んでしまいます。
中には心の許容限界を超えてしまって、過呼吸やジンマシンといった身体の異変、パニック障害、拒食症、うつ病などの心の病気を発症してしまう方もいらっしゃいます。
もちろん、中には妻側にも相応の反省が求められる場合や、夫への対し方に改善が必要なケースもあります。
ですが、その場合でさえ、妻の態度が急変して過度に優しくなったり、極端に顔色を伺ったり、気をつかうようになってしまうと、そういう空気は意図的に作り出されたものですから、夫は心地よく思うどころかかえって居づらくなって、妻のことを『ウザイ』と感じて家に帰らなくなったり、態度が冷たくなってしまうことがよくあります。
夫婦は対等であることが基本
私は決して、カウンセリングを否定しているわけではありませんが、浮気している夫を一方的に許すことは、事実上放置しているのと変わりません。
ただでさえ辛く苦しい毎日を強いられてる妻が、さらに寛容であろうと無理をしていく姿は、とても見ていられないのです。
言い方をはわるいですが、浮気している夫は平気で嘘をつき続け、浮気相手との関係を続けていく現実、妻にどう受け止めろというのでしょう?
これは夫婦における対等さが完全に崩れてしまった状態に他なりません。
夫婦というのは対等でなければいけません。
どちらか一方だけの努力で、幸せを補うこともできません。
妻が一方的に努力し反省するという構図が前提の情報、アドバイス等は、鵜呑みにすることがないようにご注意くださいね。