離婚したいけど、離婚できない

F美さんのケース

夫45歳。飲食店経営。妻43歳。夫の仕事を手伝っている。9歳の男子と6歳の女子の4人家族

夫は、ネットの出会い系で知りあった女性と不倫している(パソコンの検索履歴から判明)

ほかに風俗にも通っているようだ。(風俗店のポイントカードが財布にあった)

興信所を使った調査によって、女性は特定できたため、F美さんは相手女性に会いにいった。

すると、その日のうちに相手女性から夫に連絡が入り、夫は激怒してF美さんを責めた。

F美さんは必死に夫に相手女性と別れてくれるように頼んだが、夫は、『俺はこういう人間だから別れてもまた別の女を作るし、どうせ治らない』と言って開き直っている。

夫婦関係は以前からあまり良くない。

夫婦のスキンシップは二人目の子供が生まれてから以降はほとんどなくなった。

普段から自分のやりたいことばかり優先する夫。

自分でほしいものがあれば、家計を無視してカードなどで買ってしまう。

話し会おうとしても、『何様のつもりだ』と逆ギレされることもあり、不倫だけでなく、モラハラ的な夫の言動に対しても、F美さんは精神的に相当疲れている様子。

F美さんの気持ちとしては、離婚したいとのこと。

でも、子どもたちが不憫で、成人するまでは離婚できないと自分に言い聞かせている。

毎日が本当に辛い。夫婦関係は崩壊している状態だが、それでも離婚せずにやっていく場合、どんな心構えでやっていけばよいか。

 

~アドバイス~

さまざまな事情により、状況を一気に変えることが難しい場合、受け止め方、考え方を変えることによって、精神的なストレスをかなり緩和することができます。

人はストレスがかかっているとき、とかく偏った受け止め方、考え方をしがちですし、今見えている風景だけで進む方向を見つけようとしがちです。

風景は見る方向によって、さまざまに見え方が違うように、受け止め方、考え方というのも、さまざまに角度を変えてみる必要があるのです。

そこに気づけば、無駄なストレスを少なくできますし、気持ちが楽になって思考を整え、『今何をするべきか』を明確に判断できるようになります。

例えば、F美さんは、離婚したいけれども、子どもが不憫で成人するまでは離婚できない、と仰っています。

つまり、あと14年は離婚できない、という前提をご自分で据えてしまっているのです。

でも、ご主人は有責配偶者ですから、離婚の決定権はF美さんにあります。

その気になれば、いつでも離婚は可能です。

もちろん、離婚によってお子さんに寂しい思いをさせてしまうことはあるでしょうが、決して、『離婚できない』わけではありません。

つまり、『子どもが成人するまでは離婚できない』というふうに考え方を固定するのではなく、離婚はできるが、子どもの心のケアを十分にしてからにしようとか、将来の不安がなくなるように、経済的な自立をしてからにしよう、といった二次的な理由によって、少なくても今は、『離婚しないほうがよい』という考えに至っているのだ、ということをご自身で理解することです。

そのうえで、子どもにもダメージが少なく、経済的に不安のない離婚をするために、今の状況をどう変えていくか。

そのためにはどんな準備が必要なのかを考えていきます。

物事には順番があり、事を成すためには必ず準備が必要です。

そして、準備が整うには、それなりの時間もかかります。

コツは時間を味方につけることです。

時間は苦しかろうが楽しかろうが、早くも遅くもなりません。(そう感じることはありますけれど)

私たちにできることは、今流れている時間を「どう味方につけるか」だけです。

人は束縛されたり、求めている状況が得られず耐えていることについては、非常に大きなストレスを感じてしまいます。

そして、耐えている時間は、単なる苦痛でしかありません。

ですから、ご主人との夫婦でいる時間を、耐えるだけの時間と思うのではなく、離婚のために必要な準備を整える時間ととらえて、そのなかで何をしていくかを考えること。

もうひとつは、辛い現実ですが、F美さんのご主人は、F美さんがどんなに泣いてお願いしても、おそらく、変わってくれることはないでしょう。

ですから、ご主人はもう、コントロールのきかないところにいる、ということを理解し、「コントロールできないことで悩まない」ということを意識することが大事です。

たとえば、「明日雨が降ったらどうしよう」とどんなに悩んでも、雨は降るときは降ります。

悩んでもしかたありません。それよりも、雨が降ったら外出を控えるか、傘をさせばいい、と思っておけばいいのです。

 事態を変えようとするのではなく、そのときどう対処するかを自分なりにもっておくこと。

それが、事態をコントロールする、ということです。

こうした考え方をひとつ心に留めておくだけでも、ずいぶんと楽になると思いますよ。