結婚制度がなければ不倫もない?~不倫と自由恋愛

以前に見たテレビで、「一夫一妻の結婚制度は今の日本にはそぐわない」と考える人が一部にいるという話題が取り上げられていたことがありました。

そして、結婚制度を反対する側の意見として、『結婚制度がなければ不倫もない。自由恋愛なんだから」という発言をされているテレビの出演者の方もいらっしゃいました。

まぁ、「お互いに恋愛は自由」という価値観で、奔放に生きたい人同志のカップルなら、そういうことも言えるのかもしれません。

ただ、正直なところ、不倫は制度の問題ではなく、モラルというか、結局その人の「ありかた」が絡んできますので、『結婚制度がなければ不倫もない。自由に恋愛すればいい』という考え方は、私は少し違和感を覚えますけれど……。

『生き方の自由』という観点からも、結婚するかしないかは、当人同士がお互いに承知していればよいことですし、ましてや、結婚しているからちゃんとしている、とか、入籍していないから無責任、という問題でもありません。さまざまな事情によって、事実婚(内縁関係)であっても、夫婦同然の価値観に基づいて信頼関係を保ちながら幸せに暮らしている方もたくさんいらっしゃいますし、また当然ながら、その逆も然りです。

ですが、毎日のように不倫で苦しんでいる方からのご相談を伺っている身としては、いざ不倫問題が発生したときに、特に「された側」にとって、収拾がつかなくなってしまう事態も実際にいろいろと起きていて、理不尽かつ不利な立場を強いられているケースがあるのも事実です。

 

お電話くださる方の中には、『私たちは事実婚でしたが、今まで本当に仲のよいふたりでしたし、彼の愛情を感じて、毎日を幸せに過ごしていました。でもある日突然、彼の不倫が発覚して、問い詰めると『やっぱり俺は結婚に向いていない』とか『結婚していないんだから誰と付き合っても自由でしょ』と言われてしまい、それから彼はすっかり冷たくなって、私を避けるようになってしまいました』といったご相談をいただいたこともあります。

また不倫相手の女性の中にも、入籍していないことを知ったとたんに強気な態度を見せ、『入籍していないんだから、あなたは奥さんじゃないでしょ。だったら私にも彼と付き合う権利はあるはず』といった主張をしてくることがあります。

実際、なんとなく『妻』としての自分の立場を曖昧に感じてしまい、相手女性に対して反論できなかったり、男性が関係を解消するように求めてきたときに、結局は泣き寝入りになってしまったり、自分の怒りや悲しみをどこにも持って行けない、という問題がよく起こります。

なお、事実婚であっても、貞操義務はあります。だから不倫はダメです。

当然ですが、男性にも相手女性にも慰謝料請求できます。

事実婚(内縁)だって堂々と、『私は妻だ』と主張してよいのです。

(ただし、単なる同棲は含まないので、法的に争う場合は、同居していることと、結婚の意思を確認しあっていたことを証明する必要があります。たとえば新婚旅行をした。指輪の交換をした。結婚前提で両親に挨拶したなど)

自由恋愛……自由に恋愛する権利、といえば聞こえはよいかもしれませんが、『自由には責任が伴い、権利には義務が伴う』と言う言葉もあります。

要するに、「誰を愛し、その人をどう幸せにするのか。そのために、自分はどうあるべきなのか」

実はとてもシンプルなことなんですけどね。