浮気事例・『籍を抜きたいんだけど』と切り出した④

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案の定、尾崎さんが調停離婚の申し立てを主張された際に、ご主人はひどく怒り、『それは違うだろ、お前のせいで俺は別な女のところに行ったんだ』と、わけのわからないことを言っていたそうですが、冷静に毅然とした態度でこれまでのことを理詰めで話していくと、ご主人は苦々しい顔で黙りこくって、やがて、『もういい・・・・勝手にすればええ!』と言っていたそうです。

尾崎さんはのちのご相談で次のようにおっしゃっています。

『私たちには、それほど財産といえるものはありませんし、主人のことですから慰謝料というのもさしたる額ではないでしょうから、自宅は売却して、そこから私の財産分与の分は確保したいと思っています。ただ、やはり心配なのは子供のことです。

長男と次男は、もうすぐ大学を卒業しますし、成人しているので大丈夫なのですが、三男はまだ高校生ですし、これから先、大学への進学もありますから、学費のことなど、三男を不安にさせないように、主人にもしっかりと責任を果たしてもらうつもりです。

三男は、離婚後は、高校卒業まで私のもとで一緒に暮らしたいと言っています。

ただ、姓のほうは、今までどおりに父のほうの姓を名乗りたいと考えているようですので、親権は主人の側になると思います

牧口さんにはじめにご相談させていただいたときには、本当に自分のことが妻としても女としてもダメだと思っていて、自己嫌悪の気持ちでいっぱいだったのですが、おかげさまで、最近はすこしずつ自信を取り戻してきているように思います。

今になってみると、主人のことにどうしてあんなに執着していたのか、自分でも不思議なくらいに、前向きに離婚を受け止めています』

はじめて尾崎さんからご相談をいただいたときには、正直、疲れ果てたような声でお話されていました。

浮気という絶望の中で、不安を抱えてどうしていいわからず、自分を責めるばかりのご様子でした。

でも、お話を伺っていく中で、ご主人の主張がまったく正当性のない理不尽なものであること、尾崎さんには妻としての権利もあり、ご主人の浮気自体も、尾崎さんが原因ではない、ということをしっかり理解していただくことで、少しずつ、冷静に状況を受け止めることができるようになっていかれました。

最後にご主人と話し合いをされたときには、尾崎さんは迷いも恐れもなく、強い意思をもってご主人に対峙され、しっかりと話をすることができました、とおっしゃっていました。

もちろん、尾崎さんがご主人のいうような『ダメな妻』などではなく、長年にわたり、精一杯にご家族を支えてこられたことは、立派に成長された3人のお子さんを見れば疑いようのない事実です。

浮気という苦しみは、そうした自分の歩んできた道や積み重ねてきたものすらも見失ってしまうことがあります。

ですから、自分を否定せず、勇気をもって認める、という点もひとつひとつ、あらためて認識していただいて、これからの未来、自分自身の幸せをしっかり見つめ直すということも大事です。

そして、その結果として、夫との関係に終止符をうち、離婚を決断をされることも、一つの選択であると私は思います。

その後、尾崎さんからは、その後も数回のご相談があり、無事に調停離婚が成立しました。

現在は、ご自宅は売却され、ご三男と一緒に、アパート暮らしだそうですが、お仕事も始められていて、離婚したことでかえって元気になったと話しておられます。